
テイルズの馬場英雄プロデューサーが、
ファミ通のインタビューで、テイルズオブゼスティリアを巡る
騒動について語りました。
※本作の核心部分に関するネタバレがあるインタビューなので注意
■『テイルズ オブ ゼスティリア』馬場英雄プロデューサーに訊く、
“ヒロイン”のこと、シリーズの“これから”のこと。(2/3)
──今回の“ヒロイン”の件は、
アリーシャがヒロインであるようにも受け取れる情報が出ていたこと、
その彼女がストーリーの途中で離脱すること、
パーティーにいる期間がほかの仲間より短い彼女にも
有料のダウンロードコンテンツ衣装などが用意されていたこと、
この3点が主たる原因だったように思います。
僕はこれらのことを事前に聞いたうえでプレイして、
インプレッションで書いたように心から楽しませてもらったので、
今回のことはなおさら残念に思ってしまうんです。
率直に言って、発売前の情報でアリーシャに惹かれて本作や
有料ダウンロードコンテンツを購入した人から、
よくも悪くも「ええっ!?」と思われた面があるのは否定できません。
馬場: おっしゃることは、僕たちも理解しております。
そのうえで、発売前の情報公開について説明させていただきますと、
第1報から続報、ゲームの発売日に至るまで、
ファミ通さんを含むメディアさんなどにお出しする資料の中で、
アリーシャについて“ヒロイン”と記載したことは一切ありません。また、ストーリーの構成と仕掛けとしてアリーシャが途中で
パーティーを離脱することをふまえ、
彼女用の衣装についても開発チーム内で再三検討し、
アリーシャ用のダウンロードコンテンツ衣装をロゼにも着せることができるように
配慮させていただきました。
ただ、アリーシャとロゼの衣装が共用できることについては、
ネタバレや憶測を避けたかったため、
ダウンロードコンテンツの配信開始前にその情報を公開していませんでした。
──御社から送られてきた資料の中で、
アリーシャが“ヒロイン”と書かれていなかったことは僕たちも承知しています。
その一方で、『テイルズ オブ アスタリア』
(歴代『テイルズ オブ』シリーズのキャラクターたちが登場するスマホ向けRPG)
の公式プロフィールでアリーシャが“ヒロイン”と書かれていたり、
一部メディアの記事でも彼女がヒロインとして紹介されていたりと、
誤解されても仕方のない情報も出ていました。
※現在は修正されています。
馬場 はい。一部のメディアさんにおいて、
僕たちがお出しした資料とは異なる表現をされたことがありました。
また、ほかならぬ我々が完全に誤解を招いてしまったのが
『テイルズ オブ アスタリア』における公式プロフィールでした。
開発組織としては『ゼスティリア』チームと別のところになるのですが、
ここで事実と異なる表記が行われてしまい、これにつきましては、
ユーザーの皆さまの混乱を招いてしまったことを誠に申し訳なく思っております。
3年の月日をかけてゲームを開発してきた『ゼスティリア』チームの全員にとっても、
胸が裂けるような思いがいたしました。
馬場: この場をお借りして、アリーシャの立ち位置について
改めて補足させていただきますと、
彼女はストーリーにおいて、ふたつの重要な役割を帯びていました。
ひとつは、主人公のスレイを外の世界へと誘(いざな)う役割。
もうひとつは、王位継承権の末席に位置するがゆえに苦悩するアリーシャの姿や、
そんな彼女ひとりを満足に助けることもできないのに自分の夢を果たせるのか……
というスレイの葛藤を通じて、思い通りにならない“社会”の現実を
スレイが知るキッカケとなる役割。
ただし、これらに関する細かな心理描写は、
本作ではあえて前面に出していませんでした。
ロゼについても詳しく教えてください。
馬場: ロゼは、スレイたちの心理的、内面的なカウンターを担うキャラクターとして、
彼らと対になるような形で描きました。
スレイ、アリーシャ、ミクリオ、ライラは、それぞれに個性がありつつ、
同じような生真面目さと情動傾向を持っています。スレイの悩みを自分のことのように共有し、
いっしょに苦悩する優しさを持っていますが、
それは同時に、スレイと同じ視点で“挫折”という袋小路に陥ってしまうということでもあります。
アリーシャとの別れを経て、立ちはだかる現実の壁を思い知ったスレイたちの前に、
ロゼは、これまでとは別のアプローチを提示する役割をもって登場します。
現実という壁の厚さと高さに悩むスレイたちに対し、
ロゼは持ち前の明るさで、「脇に廻れば、壁の後ろに出られるかもよ?」、
「どっかにドアがついてたりして!」、
「そもそも、この壁って越えないといけないものなの?」といった、
スレイたちが思いもよらなかったアプローチや視点があることを提示し、
気付かせてくれます。
スレイたちは、そんなロゼからの新しい刺激を受けて、
それぞれが再び自分らしく前に踏み出していくのです。
──なるほど……。本作は、遊んだ人が
さまざまに解釈できるストーリーになっていただけに、
“その後”をアリーシャの視点で描く
『アフターエピソード』にも注目が集まりました。
その受け止めかたも人それぞれかと思いますが、
ひとつだけ教えてほしいことがあります。『アフターエピソード』は、
そこはかとなく“続き”がありそうな終わりかたでしたが、
あれはどういう意図なのでしょうか?
馬場: 本作の公式コンプリートガイドのインタビューで申し上げたことと
重なりますが、『アフターエピソード』の“続き”を
ダウンロードコンテンツで出す予定は当初からありません。
さらに明かしますと、『アフターエピソード』の最後に
“To be continued.”という表示が出ますが
あれは、『ゼスティリア』本編のエンディングへ続くという意味なんです。
ではなぜ、あえて“To be continued.”にしたのか、その経緯をご説明します。
『アリーシャ アフターエピソード -瞳にうつるもの-』の制作が決まった際、
その内容を検討する会議において、「『ゼスティリア』の“その後”では
スレイがパーティーにいない中で、アフターエピソードの最後に“Fin.”のような表示が出ると、
スレイが不在のまま『ゼスティリア』の物語が終わることを念押しされた気分になりかねず、
アフターエピソード自体の読後感もよくないのでは」という懸念が出てきました。
そこで、“Fin.”ではなく、「本編エンディングの最後、
成長したミクリオが登場する遥か先の時代まで、世界は続いていく」という
意味の文言にしてはどうか、という意見が出たんです。
──もうひとつだけ、あえて聞かせてください。一部のユーザーの方からは、
特定の声優さんに肩入れするような理由でシナリオを
改変したのではないか、という声も上がっているようですが……?
馬場: そのようなことは、断じてありません。
『テイルズ オブ』シリーズのストーリー、ゲーム性は、
開発チーム内で幾度となく協議を重ね、全員で作り上げているものです。
もしも、僕や一部のスタッフが私情を挟んだり、
圧力をかけるようなことがあったとしたら、チームそのものが崩壊し、
『テイルズ オブ』シリーズを今日まで続けることは到底できなかったはずです。
これまでも、これからも、チームが一丸となって開発していくことに変わりはありません。
ということで、馬場Pの口から直接、
アリーシャはヒロインじゃなかったと、
明言されることになりました。
つまりヒロインはロゼだったと。
事前の情報の出し方について、
発売前にストーリーの情報があまり伝えられなかったのは、
ゲームをプレイして初めて知ってほしいという思いがあったから。
アリーシャの離脱や天族など、
本作の特徴的な要素について語ってしまうと、
ネタバレとなってしまうため、情報の出しかたには苦慮した。
しかし、結果として意図していない誤解を招いてしまった面があったと。
まあ、ストーリーとかは発売前だとよくわからなかったけど、
「導師の夜明け」をみたりしたら、
どう考えてもアリーシャがヒロインだと思っちゃうよな~。(゚θ゚ )
ミクリオと思う人もいたかもしれんが。
今回のインタビューはTOZユーザーにとっては非常に重要な内容。
ファミ通.comで全文をチェックしましょう。
■『テイルズ オブ ゼスティリア』馬場英雄プロデューサーに訊く、
“ヒロイン”のこと、シリーズの“これから”のこと。(1/3)テイルズ オブ ゼスティリア パーフェクトガイド (ファミ通の攻略本)
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